息苦しくて居たたまれなくて、だけど、繋がる手の温もりに安心する。
一定の距離を保ったまま、肩を並べて座る電車の座席。
言葉を交わすこともなく、ただ反対側の座席の後ろの窓に映る景色を眺めるしかなかった。
今更だけど……。
やっぱり無言の颯平を前に何か話しかけることができなくて。
ちゃんと話をしようって決意したのに、聞きたいことだってあるのに口が開かない。
もちろん顔も見れなくて。
颯平がどういうつもりで私を引っ張っていったのか……考えても考えても分からなかった。
電車だけが進んでいき、降りる駅へと到着する。
しっかりと握られた手は引かれ、久しぶりに見る颯平の後姿を見つめながらついていく。
どうしよう。
何か言わないとさっきの二の舞になってしまう。
改札を通る時に離された手をギュッと握りしめる。
続いて改札を通り抜け、振り向いた颯平に向かって、意を決して話しかけようとした。
だけど、私はバカだ。
何で無意識にこんな行動をとってしまったのだろう。
そんなこと考えたって時間は戻らないのに。