たどりついた答えは簡単。

ピタリと体が止まり、後数段でホームだというのに、私は階段を掛け降りていた。


もう。

会わせる顔がない。

終わった。

少し前のように二人で笑い合うこともできないんだ。


ごめん、颯平。


無我夢中で走り続ける。

早くこの場から立ち去りたくて、私は逃げ出した。

きっと颯平には嫌われただろう。

それも仕方ない。

一ヶ月も避けられて、他の男と二人でいるところを見て、誤解しないほうがおかしいんだから。


後ろも振り返らず走り続けて、もうすぐ改札口。

その手前まで来た時、



「キャッ!!」



私の腕は急に引っ張られ、体が後ろ向きに体勢を崩して止まった。

掴まれた腕がジンジンと痛みを増す。

同時に痛む胸の奥。

振り返るのが怖くて身動き一つ取れなくなる。

激しい動機と息切れが続く中、固く目を瞑った。


少しの沈黙さえつらい。

だけど颯平から何か言われるのも怖い。


今すぐこの手を振りほどいて逃げたい気持ちに駆られていると、



「何で逃げるの?」



ようやく沈黙が破られた。