「えっ!? 先生!?」

「こんなとこで何してんの?」

「私は……。あっ、そういう先生こそ」



そう言いかけて、隣にいる女の人に気が付いた。

ハル君と並んでいても見劣りしない綺麗な人。


ハニーブラウンの色した緩やかに巻かれた髪。

大人の女性を思わせる化粧と長く伸びた爪に施されたネイル。

黒のロングカーデに、白と黒のボーダーワンピ。

短めの裾から覗く足は細くて長くて、スタイルもよくて……。


何だかモヤモヤする。



「可愛い〜っ!! 制服着てるってことは高校生? ハルってばこんな可愛い彼女がいたなんて!!」

「は? 違うし」

「またまた〜っ、照れないって」



女の人にからかわれ、当たり前だけど否定するハル君。

そのことに少し胸が痛む。



「ねぇ紗夜香? 彼があのハル君とやら?」



小声で私に問いかけてきた香里奈にコクンと頷いてみせる。

するとふーんと言いながら、まるで値踏みするかのようにハル君を眺めていた。



「あっ!!」




ハル君と話をしていたその女の人は、突然声を上げると私たちの方を向いて微笑んだ。