ポツ、ポツ――。

どれくらいの時間泣いていたんだろう。

枯れてきた涙の代わりに、空から雨が降ってきた。


私の体をそっと離したハル君は、こんなのでごめんなと笑いながら服の裾で私の顔を拭うと、そのまま手を引いて駆け出した。

間一髪、土砂降りを免れた私たちは公園の狭い公衆トイレの中。

なぜか顔を見合わせてプッと吹き出した。



「今日雨降るとか言ってなかったのにね」

「天気予報もあてにならないな」



手を洗って外を見ると、砂の山は完全にその姿を消し去っていた。

地面には所々水たまりができ、その上に容赦なく雨が降り続ける。

雨と風の激しい音が壁に反響して耳に届く。


きっと夕立だろう。

一層激しさを増す雨を目の当たりにして、そのまま雨宿り。

さっきまでの出来事が幻だったかのように、二人だけの空間はドキドキと私の胸を高鳴らせていた。


まったく……。

さっきまで泣いてたのに。

自分の性格にほとほと呆れながらも、ハル君といれるこの時間に笑みさえ零れてくる。



「俺も公立は落ちたんだよ?」

「えっ?」