俯いて崩れた砂の山を見ながら、自分でも驚くぐらい大声で叫んでいた。
半分八つ当りだ。
行き場のないどうしようもない気持ちを吐き出しただけなんだ。
束の間の静寂が訪れる。
最低。
ハル君に八つ当りしたって何が変わるわけでもないのに。
「分かるわけないね。俺は紗夜香じゃないんだし」
そんな私に追い打ちをかけるように、初めて会った時のあの冷たい声で言い放たれた。
もうこの場にはいられない。
今にも零れ落ちそうな涙をぐっと堪え、唇を噛み締めてこの場を立ち去ろうとした。
なのに。
何でそんな優しい声を出すの?
「だけどな、紗夜香が頑張ってきたっていうのは、この前教えながら感じたから」
だから泣いてもいいよ。
そんな声まで聞こえた気がした。
気付けば、私はハル君の胸の中で思いっきり泣いていた。
吐き出したくて仕方なかった思いが止まることなく溢れてくる。
何だかんだ言ったって、やっぱり悔しくてたまらなかったんだ。
誰かの前で声を上げて泣くなんて初めてのことだった。
恥もプライドも、その時の私には何一つ残っていなかった。
ただ、この胸が心地よかった。