「何で……だろ。先生が苦しそうな顔、してるから、かな……」
自分でもよく分からない涙を拭い、ハハッと笑ってごまかした。
ハル君はバーカって言いながら、私の頭を軽くこづいた。
空に漂う雲が太陽の光を遮り、ゆっくりと薄暗くなっていく。
涼しさを増した辺り一面に、春風が吹き荒れる。
雨でも降りそうな雲行きだな、なんて思いながら、膝を抱えてボーッとハル君と作った山を見つめていた。
「……続きするぞ」
「えっ、先生?」
立ち上がったハル君を見上げると、笑顔を向けて砂の山まで歩いていった。
「紗夜香、おいで」
その言葉に引き寄せられるようにハル君の元へ行くと、さっき掘ったトンネルと交差するトンネルを掘るんだと告げられた。
「今度は壊れてもいいから思いっきり掘ってみな」
その言葉にコクンと頷く。
ハル君は一体、何がしたいんだろう?
そう思ったけれどあえてそれは聞かず、言われるがままに私は勢い良く砂を掘り始めた。