「そう言われてもな。紗夜香って見た目の割に幼くて、妹みたいなんだよ」



そう言って、ハル君は私に視線を向けてきた。

チクッと胸が痛んで小さく息を吐く。



「……何? 女扱いしてほしいの?」



すると、ハル君は急に真剣な声を出してきた。

真っすぐな視線に捉われて、口を動かすことができない。

ジリジリと体が近づいてきて、それと同時にバクバクと心臓が音を立てる。


目を逸らせない。

顔が近づいてきて、不謹慎にも期待してしまっている。

その先を――……。



「っ、ひゃぁ!!」

「プッ……アハハハハッ!! その反応面白いなー」

「もうっ。また人をからかって楽しんで!! 私はてっきり」

「あれ? 期待した?」



図星をさされて、顔の熱がどんどん上がっていってどうしようもなくなる。

息を呑んで呼吸を落ち着かせ、息を吹き掛けられた耳を片手で押さえる。



「するわけないじゃん」



私はベーッと舌を出して心にもないことを言って、トイレへと手を洗いに駆け出した。