「おーい?」
我に返った時には目の前に、ハル君の顔のドアップがあった。
「あーあ、何してるんだよ」
驚きのあまり後ろに尻餅をついてしまった私を、呆れ顔になりながらも手を差し伸べてくれたハル君。
鳴り止まない胸の鼓動。
それを押さえようとしながら手をとった。
包み込むような大きな手。
立ち上がってからも何だか手を離したくなくて。
名残惜しくもゆっくりと手を離すと、可愛いなぁなんて言いながらまた笑いだした。
分かってる。
ハル君の可愛いって言葉は、子ども扱いされているようなものだって。
小さな子どもを見て、可愛いって言っているのと同じようなもの。
それなのに嬉しい。その反面、
「子ども扱いしないでよ」
それが少し切ない。
女として見られていないことが。
確かに大学生からしてみれば、高校生なんて幼く見えるかもしれないけど。
一人の女として見られたい。
そんな衝動に駆られていた。