これがハル君から言われた言葉じゃなければ、きっと苛立ちを覚えただろう。

多分、ひた隠しにしていたけれど、それが事実だったから。


だけど何でかな。

ハル君の言葉は素直に受け入れられる。

――あぁ、
そうだったんだなって。


いつからだろう。

ハル君の前ではプライドが邪魔をせずに、自分の嫌な部分を認められるようになったのは。



「そうだね。逃げているのかも」



私は同じ速度で再び手を動かし始めた。

認めたからといって、すぐには変えられるものでもない。

そんなにすぐ性格が変わるんだったら、今の私はいないんだから。


それからは二人とも無言だった。

ハル君は相変わらず凄い勢いで掘っていく。


穏やかな風と砂を掘る音が辺りに鳴り響いている。

大きな山の横に、今にも崩れ落ちそうな大きさの違う小さい山が二つ。

それがある程度の大きさになってきた頃、掘っている土が柔らかくなったかと思うと、



「あっ」



ハル君の指と触れ合った。