「あーっ!! 私の手形がぁ……。先生のイジワル」

「アハハッ。こういうやつ一人はいなかった?」

「いたいた。何かとちょっかいかけて、いじめてくる男子が。先生もそんな人だったとは……」



プーッと頬を膨らますと、ハル君はアハハッと笑いながら背を向けて缶を取りに行った。


その隙に、そっと手を重ねる。

大きい……。

私の手なんかすっぽり収まって。



「何してんの?」



急に現れた、じゃなくて私が一人の世界に入っていたから。

ハル君が目の前に戻ってきたことにも気付かなかった。



「みっ、水!! 早く続きしようよ!!」



慌てる私を見てクスクス笑いながら砂に水をかけ、再び二人で山を作り始めた。

ただ黙々と砂を積み上げていく。

二人して真剣にペタペタと。

そうしたら急に、ハル君の手が気になってきた。

さっきハル君の手形に自分の手を合わせてみたからかな。

大きくてごつくて、何だか大人の男の人だって改めて感じて。

そうしたら急に、今度はドキドキとしてきた。


意識し始めると
どうしようもない。


さっきの行動見られていなかったかなって気になって。

こんなに近い距離に顔があること、時々手が触れそうになること。

真剣に山を作る姿に、二人きりというこの状況。


ドキドキしている胸の音がハル君に聞こえないかと心配になりながら大きな音を立て、それらのことを払拭するように山を作っていった。