途中、我に返った香里奈に申し訳なさそうに謝られた。
まだ颯平のこと見ていたかったでしょって。
私は笑顔で小さく首を振り、そのことを忘れるかのように次々と話題をふった。
不思議そうな顔をした香里奈だけど、それ以上聞いてくることはなかった。
香里奈の家についてからも話は尽きることはなかった。
そして夕食までご馳走になり、帰る頃には辺りはすっかり真っ暗だった。
「彼氏に電話してみたら? 一緒に帰れるかもよ」
「ううん、一人で帰る」
「そ? じゃあ駅まで送るよ」
来た道を歩いて行き、N高の前も再び通る。
今は何となく颯平と話す気にも会う気にもなれなくて、香里奈の提案を断った。
でも、それでも気になってしまうものなんだね。
香里奈に気付かれないように、チラッと横目でN高のグラウンドを見てしまった。
颯平いるかなって。
だけど、どうやらどの部活も終わったみたいで、グラウンド内は誰もいなくて閑散としていた。