「はーっ。やっぱ高校にもなると迫力が違うね」
「うん、真剣に見ちゃった」
試合が終わってサッカー部が休憩に入り、私たちもようやく言葉を交わした。
「紗夜香の彼も活躍してたね! サッカーはよく分かんないけどかっこよかったー」
「私もそう思う……」
素直な思いを口にすると、香里奈は嬉しそうに私をからかって、肩をポンポンと叩いてきた。
だって、本当にかっこいいと思ったんだもん。
中学時代は私も部活をしていたから、颯平がサッカーをしているところを見る機会がなかったけど。
できることなら見たかったな。
目を輝かせてボールを追い掛ける姿。
真剣な顔つきで試合に臨む姿。
今、目が離せないように……、その時もきっと、こんな風にずっと眺めていたんだろうな。
そうしてずっと目が離せないでいた颯平に、一人の女の子が近づいてきた。
マネージャーかな?
スポーツドリンクの容器とタオルを手渡すと、笑顔でそれらを受け取った颯平。
頭を拭いてドリンクを飲んで、何だか楽しそうに喋ってる。
彼女は颯平の肩をポンッと叩くと他の人にも配りに行った。
それはほんの一瞬の出来事に過ぎなかった。
だけどね……。
気付いたんだ。
私がその彼女を目で追ったように、颯平も後ろ姿を眺めていたことに。