「今にも泣きそうな顔してんのに男にホイホイついていって」
「それは……」
相変わらず言葉の端々にはトゲがあり、威圧されたままの私は言葉が震えて顔がだんだんと俯いていく。
「あ、本当は期待してたとか?」
頭上から落とされた声は、鼻で笑って馬鹿にしたような言い草。
言っている意味が何となく分かって、何だか悔しくて悲しくて、鼻の奥がツーンとしてきて目頭が熱くなる。
何でこんな言われ方しなきゃいけないの?
確かにどうでもいいとか思ったけど。
大体、普段はナンパなんかされないし、どうすればいいか分からなかっただけなのに。
「何で……」
「ん?」
再び涙が零れ落ちる。
ギュッとコブシを握り締める。
今日は人生最低最悪の日だ……。
高校受験に失敗して、挙句の果てにナンパ男に絡まれて、さらには助けてくれた彼からはこんな言われようで。
「もう、私の人生いいことなんてないんだ……生きてたって意味ないし……」
それぐらい目の前が真っ暗になったような気がした。
突然訪れた数々の最悪な出来事に気持ちがついていけない。
これからもずっとこんな状態が続くと思うとうんざりで、行きたくもない高校に行かないといけないと思うと憂鬱で、
私は何のためにこれからを過ごさないといけないんだろうって思った……。