ここぞとばかりに、『お兄ちゃん』特権を振り回す紘哉。
ニヤリと笑う彼を見た羽兎は、悔しそうに唇を噛んだ。
相変わらず、紘子はソースをかき回しながらニヤニヤしている。
「そう言えば、ケイちゃんは?」
「アイツなら、一旦署に戻りました。すぐに戻ってきますよ」
「そうですか……あの、紘哉さん」
「何ですか?」
手を洗う紘哉に向かって、千尋は少し顔を赤くする。
そして、キッと前を向いた。
「もうちょっと気楽にいきましょうよ!堅苦しいの、嫌いです。こっちまで畏まっちゃいますよ」
「あぁ、その事。じゃあ、気楽にいきましょう」
紘哉は小さく笑った。
羽兎がゆっくりと首を降る。
「紘哉さんが笑った……何か悪いことが起きる前兆だ」
「お姉ももうちょっとどうにかならないのかな……分かりやすいし」
なかなかにキツい二人である。