「ほら、お兄ちゃんも早く!」

「……お前はホント容赦も遠慮も無いな」

「お兄ちゃんに似たんだよ!」

ここぞとばかりに、『お兄ちゃん』と言う単語を連発してくる羽兎。
状況を知っている紘子は、手を動かしながらニヤニヤと笑っていた。

「……じゃあ、手伝えることがあったら手伝います」

一言断りを入れ、紘哉はキッチンに入った。
奥の方で、紘子がソースを混ぜているのが見える。

紘哉は上着を脱ぎ、腕捲りをした。
それを見た羽兎が手を挙げる。

「あ、私も手伝う!」

「お前は止めろ。ここにいる全員を毒殺する気か」

「ひっど!!んなワケ無いじゃん!!」

「とにかく止めろ。兄として言う」