紘哉は恵一から顔を背け、千尋の部屋のドアを叩いた。
しかし、何の反応も返ってこない。

もう一度叩いてみる。
しかし、結果は同じだった。

「あれ?チーの奴、どこ行っちゃったんだろ?」

「分からん」

いないのなら仕方がない。
探すしかない。

三人は階段を降りた。

「じゃあ、取ってきます!」

「行ってらっしゃい!」

笑顔で見送る羽兎。
恵一は手を振りながら、新井家を出ていった。

恵一が出ていったのを確認すると、羽兎はくるりと紘哉の方に顔を向けた。
そして、目を閉じる。

「どうした?」

「……何かあっちからいい匂いがする!多分、カルボナーラかも!」

「……お前は犬か」