「ごめん。俺、一回署に戻るわ」

電話を切り、恵一は二人に向かって言った。
羽兎が首をかしげる。

「じゃあ、聞き込みはどうするんですか?」

「羽兎さん、お願いします!何でも、中村さんの解剖記録が出たらしいんで」

「割りと早く出ましたね」

「でももうお昼ですよ?」

「え?」

羽兎は自分の携帯電話を開き、時間を確認する。
その途端、彼女の腹の虫が元気よく鳴いた。

「お昼って分かった瞬間、お腹空いちゃって」

エヘヘと笑い、頭を掻く。
紘哉は呆れたように息を吐き出した。

「とにかく、聞き込みが先だ。ケイが解剖記録をもらって来る間に、とっとと終わらせよう」