「残るは後一人か……」

「アリバイも無い。それに、あんないい人達が殺人なんてするハズがない」

隆宏にお礼を言い、廊下に出てきた。
残る人は千尋だけ。
今までの話を思い出し、紘哉と羽兎は小さくため息をついた。

「何か、段々と適当になってきたな」

「うん、疑わなきゃいけないって分かってるけど……何か嫌なんだよね」

羽兎は苦しそうにこめかみを押さえた。
彼女なりに思うことがあるのかもしれない。

突然、誰かの電話が鳴った。
各々、電話を確認する。

「もしもし?」

鳴ったのは、恵一の携帯電話だった。
二人に背を向け、電話の相手の受け答えをする。