「何を話せばいいですか?」
「10時から11時半頃、何をしていたのか教えてください」
「あぁ、その時間帯か……」
少し困ったように、顔をしかめる隆宏。
そして、彼はおずおずと話し始めた。
「昨日は仕事の関係で、11時頃に帰ってきたんですよ」
「そうなんですか。大変そうですね」
「まぁ、はい。今はちょうど忙しい時期で……
それで、11時頃でしたかね。遠くの方で、何か音が聞こえたんですよ」
その時、羽兎が勢いよく隆宏の方を向いた。
そして、目をキラキラさせながら尋ねる。
「あ、あの!それって、こう……パン!とか、そんな感じでしたよね?」
「言われてみれば……破裂音に近かったかもしれません」