首を傾げる二人の目の前のドアが、ためらいがちに開いた。

「何ですか……?」

こちらを覗き込むように見てくる一人の男性。
眼鏡の奥の目には、警戒の色が滲み出ている。

「隆くん、忘れちゃった?」

「誰?」

「俺だよ、俺!花形恵一!」

「……あぁ!」

恵一の事を思い出したのか、彼は嬉しそうな顔で手を叩いた。
そして、ニッコリと笑う。

「久しぶりだねぇ!ケイちゃん!」

「隆くん、『ケイちゃん』って呼ぶのやめよう?」

「だったら、ケイちゃんも『隆くん』って言うのやめようか」

そして、二人で笑い合う。
男同士、どこか通じるものがあるらしい。