三人は顔を見合わせ、慌てて立ち上がった。
そして、近くの物陰に身を隠す。
その間も、押し合い圧し合いになる。

何とか全員が身を隠したその時、ドアが開いた。
中から出てきたのは千尋だった。
その顔は憤然としている。

千尋は彼らに気付くこと無く、廊下を曲がっていった。

「喧嘩でもしたのかな?」

「多分な。あんな声が聞こえてきたし」

「怖いねー」

「……凄い他人事だな」

ドアの前に立ち、改めて恵一がノックをする。
少し間があった後、ドアが開いた。

信夫が疲れきった顔で、三人を迎え入れてくれる。
彼は三人をソファへ案内し、自分も向かい側のソファへ腰掛けた。