「だから急遽、咲良って漢字に変更したんだって」


こんな話しきっと他人からしたらつまらないだろう

しかし蒼は真剣に聞いてくれた

自分に少し似ている蒼なら聞いてくれると思った


「名前自体変えればよかったのにめんどくさかったんだって。そしたらみんなに春生まれ?なんて毎回聞かれないのになぁ」


「5月だって春じゃん」


「そうだけど……5月生まれならさつきとか他にもあるのに、めんどくさいからって……」


「確かに……どんだけめんどくさがりなんだろ」


今までなら初対面の人にこんな話しない

ましてや相手が男子だったら尚更

なのにペラペラ話をして、変な女って思われたかもと不安になった

しかし蒼は終始、ちゃんと聞いていて

お互い人見知りであるだろうに話が弾んで

2人は仲良く笑い合った


笑っている蒼は無邪気で可愛い

そんな蒼にトクンと胸が鳴る

まだ緊張しているのかな?と咲良は思った







しかしこの時から咲良はきっと蒼に恋をしていたんだろう


それに気づくのはまだまだ先


この日から咲良、蒼、浅井、美紀子の四人はよく一緒にいるように


出席番号が隣同士の蒼とは何かと同じ班になったり


オリエンテーション、遠足、理科の実験、体育のグループ


2人はたちまち仲良くなっていった