「だから……咲良って名前。春生まれだからなのかなぁって」


「あ、うん……」


そして沈黙……

謝る前に蒼が話してしまいタイミングを逃す

どことなく2人ともぎこちない

咲良は慣れない男子に少し緊張していてうまく話せない


「……お前も蒼って呼べよ」


「へ?……あ、…はい」


いきなり命令口調でお前呼ばわり

会って間もない人に失礼だなぁと内心思った


蒼は自分が言ったことが恥ずかしかったのか顔を反らして、頭をガリガリかいていた

チラッと見える耳は真っ赤

もしかしたら蒼も緊張しているのかな?だから話し方がぎこちないのかなと咲良は思い、そうすると何故だか可笑しくなってきた


なんだか自分と似ているかもと


「……何笑ってんだよ」


横目でクスクス笑う咲良を見ていった


「ご、ごめん。何だか面白い人だなぁって」


「ど、どこが?」


可笑しくて出てきた涙を指で拭い、少し蒼に心開いた


「私、本当は5月生まれなの」


「え?」


「桜って4月のイメージでしょ?……予定日は4月だったから親がもう桜って名前に決めていたらしいんだけど」


しかし出産が遅れ、5月に入ってすぐに生まれた