「えっ！？」



いきなり蒼に話しかけられたことにびっくりし、思わず大きい声を出してしまった


そんな咲良にみんなの視線が一斉に集まったのは無理もない


咲良は注目を浴びたことと自分でもびっくりな大きい声に恥ずかしくなり、顔を真っ赤にした



「瀬上さん。何か質問ですか？」



スキーの説明をしている先生にもそれは聞こえたらしく、更にみんなの視線が集中する



「いえ……何でもありません……」



恥ずかしがり屋でみんなの注目を浴びることが大の苦手


真っ赤な顔を隠すために、先ほど配られたばかりのしおりに顔をうずめた



こんなことになった原因の人物はそれを見てクスクス笑う始末


その姿を本の隙間からチラリと覗く



“誰のせいでこんなことになったと思ってんのよ！………なんで…なんで…”




平気な顔して笑ってるの？




その笑った顔は以前の蒼のまま


喧嘩していたことが嘘みたい



前に戻ったみたいに振る舞う蒼に疑問を抱きながらも、少し嬉しくもなった



一通りこっそり笑った蒼は一呼吸入れて再び咲良に話しかけた



「そんだけ元気なら具合悪いわけではなさそうだな」



怒り口調でもなく普通に今までみたく優しく話す



もう怒ってないのだろうか？