「スキーかぁ……」



運動が苦手な咲良でも実は体力がないだけで運動音痴なわけではない



スキーは小学生の時に自主的に参加しており結構滑れる



もちろん美紀子も一緒に参加していた



「うちらは中級グループだね」



「いいな~。私やったことないから一人だけ初級じゃん」




一人別グループになってしまう千都


そんな彼女に美紀子が用紙を見ながら励ます



「ほら!見てよ!イケメンで有名な藤谷先生が初級グループじゃん」



漫画好きな千都は最近、生徒と先生モノをよく読んでいた


しかし千都の返事は暗いまま


やはり彼女に男で励ますのは無理があったようだ



三人で話をしていると次の授業が始まりさっそくスキーのグループ決めを行った



咲良と美紀子が中級グループに集まり席に着くと隣に浅井がやってきた




「お前らも中級?」


「なに。あんたも?」



嫌そうに美紀子が答えると、やはり浅井はムットした



すると浅井の後ろからもう一人やってきて、美紀子がハートマーク付きで名前を呼んだ




「蒼♡」



その瞬間、咲良の胸が大きく揺れる


今はあまり見たくない顔


彼もまたムスッとした表情になった



「や~ん!蒼も中級なの?」


「うん……」



久しぶりに聞く蒼の声


ドクドク鼓動が揺れているのがはっきりわかる


“……っ…心臓お願いだから少し静かにして!”



胸を押さえながらギュッと力を込めた



すると蒼は咲良の隣に座り、そっと話しかけた



「具合でも悪いの?」