長い入学式を終え、咲良たちは教室に戻りしばらく待機


周りでは先ほどとは違い、みんな”どこ小?“と聞いて仲良くなっていた


そんな輪に入っていけない咲良

昔から人間関係が少し苦手で、なかなか友達も作れない

咲良は一番後ろの席になり、さっきまで一緒だった美紀子とは席が離れてしまった

美紀子は誰とでも仲良くなれるタイプで彼女と一緒にいればすぐ友達ができる


案の定、美紀子は前の席のほうで色んな人と盛り上がっていた

咲良は仕方なく、新しい教科書をパラパラ見ながら先生が来るのを待った


すると横の方から声をかけてくる男子


「瀬上?幼稚園で一緒だった瀬上だろ?」


咲良はパッと顔を上げて男子のほうを見た

見たことあるような、ないようなそんな曖昧なこと考えながらボーッと見ていると、そんな咲良に痺れを切らし自分から名乗った


「浅井!浅井 幸也!よく一緒にいたろ」


「あぁ~!!いたね~」


「いたね~って!!」


浅井とは幼稚園が一緒でいつも班が一緒で色んなことを一緒にやってきた

ミカン狩り、お芋掘り、運動会、遠足など


「あ!浅井じゃん!」


するとみんなで盛り上がっていた美紀子が輪をすり抜けて咲良のもとに

美紀子ももちろん浅井と同じ幼稚園で一緒の班だった


「武田もいたのか。久しぶりだなぁ」


「本当に!懐かしい~」