2人は仲が良いからなんだかんだできっと一緒に食べてると美紀子と浅井は話していたらしい



「それで蒼は?」



「………………」



ホッとしたのも束の間、また頭によぎるあの2人のこと


無言の咲良が心配になり、美紀子が顔を覗かせて聞いた




「蒼と何かあった?」



幼なじみなだけあって沈んでる理由はだいたい検討がつく



きっと一緒だった蒼と何かあったんだと



「なんもないよ」



しかし咲良は何も言わず、明るく振る舞った


気にしないように、思い出さないように、考えないように




「蒼はきっと誰かと一緒に食べてるんじゃない?私はもう食べたから」



本当はまだ入ってるお弁当を空だと偽った



美紀子に心配かけたくない



“もう考えるのはやめよう”



咲良はヨシッ!と言って立ち上がった



「校庭に戻ろっか」



そろそろ午後の部が始まる


気合いを入れ直し、咲良たちは校庭に向かった



しかしどんなに考えないようにしても、彼は同じクラスの男子



嫌でも先ほどのことを思い出してしまう



案の定、校庭に戻り自分のクラスの場所に戻ると蒼がいた




「蒼!どこいってたんだよ」




浅井がすぐさま話しかける



咲良は顔を合わせないように浅井と美紀子から離れた



チラッと見えた蒼の表情は少し怖かった



すると蒼は咲良のほうに目をやる



ドクン……



“怒ってる……?”




蒼は睨むようにこちらをみていた



怒るのも当然かもしれない



約束を破って別館には行かなかったのだから


本当は雨宮さんのこともあって話はしたくなかった


でも突然、無視してさけるのもおかしい



咲良はズキズキ痛む胸を押さえ、自分から蒼に謝りに行った




「ごめん……さっきは行けなくて……」



「なんで?……何で来なかった?」



蒼は低い声で淡々と話した


それが一層、恐怖を感じさせる



“完全に怒ってる……”




「ごめんって……美術部の用事ですぐ行かなきゃいけなくなっちゃって」



近くで聞いてる浅井と美紀子は何の話か全くわからないでいた


しかし2人が今、険悪なムードなのは確か