そして始めて気付いた


自分が蒼を好きな人たちにとって邪魔な存在だと



ただの友達でも所詮は異性


それだけで妬まれてしまう



“怖い………”



そういう感情も、そう思われてることも、今目の前にいる彼女のことも


全てに恐怖を感じる



咲良はうつむいて小刻みに震えた



「瀬上さん?」



突然話しかけられビクッとなる


何を話していいかわからない


どうすればいいか戸惑う



「ぁ………の、蒼……別館にいるから…」



「別館?」



「これ……」



そう言って蒼のTシャツとお弁当を雨宮に突きつけた



「じゃ……よろしく」



咲良はその場から逃げるように教室を出た



早く……早く……



少しでも彼女から遠ざかりたい一心で走った



「はぁっ……はぁ……」



咲良は教室からも別館からも離れてる体育館前に来た


そこに崩れるようにしゃがみ込む



雨宮はきっと今頃、蒼のところに……



さっきのこと、2人のことを考えると気持ち悪くなってきた


お弁当は食べられそうにない



“どうしてあんなこと言われなくちゃいけないの……別に恋愛感情ないんだからそばにいてもいいじゃん……”




何故こんなに言われたことが辛いのか


咲良は確信をつかれたような気がした


蒼を好きならば雨宮が言うこともわからなくはない



でも彼女に対して嫌悪感がある



その先の気持ちは知りたくない


知ってしまったら自分らしくいられない気がした



とにかく心を落ち着かせようと目を瞑った



「何やってんだ?」



バッと声がするほうを見る


声をかけてた人物を見て、なんだかホッとして力が抜けた



「咲良!?どうしたの?具合悪いの?」



そこにいたのは浅井と美紀子


2人を見て気が張ってた心がほぐれ、一気に落ち着いた




「大丈夫。ちょっと疲れただけ」



「おいおい。まだ午後もあるんだぜ。大丈夫かよ」



「大丈夫!それより2人してどうしたの?」



2人とも誰かを探してたようだった



「咲良を探してたの!あと蒼」



2人は咲良たちが1人でお弁当を食べてると思い、急いで食べて一緒にいようと思って探してた



「てっきり蒼と食べてるのかと思った」