靴から上履きに履き替え、教室などがある本館を抜け別館に続く渡り廊下に出た



今日は美術部で絵の展示もしていて、いつも閉まっている別館の扉は開いていた


しかし今は昼休みということもあり誰もいない


咲良が別館に足を踏み入れると誰もいないはずの場所に人の気配


ビクッと体を揺らした瞬間、目の前が真っ黒に


そこにいた人物によって身動きを封じられた




「なっ!!ちょ……ん、ぐ………」




離してと叫ぼうとしたが力を込められ口も封じ込められた



「しっ!静かに!!」



聞き慣れた声

別館にいたのは蒼だった


別館の入ってすぐ横の柱に隠れていたところ咲良に見つかり咄嗟に抱き寄せた



そして声を出さぬようギュッと力を込め抱きしめる


先ほどまで騎馬戦をしていた蒼


当然ながら上半身裸であった



その肌に顔を埋められてる咲良の思考回路は爆発寸前



目の前には裸で、男子に抱きしめられてる



ドキドキドキドキドキドキドキドキ



心臓がこのままでは保ちそうにない



すると別館の外から声が


蒼は咲良を抱き締めたまま柱に体が隠れるようにして縮こまった



「いた?」


「ううん」


多分二年生の女子であろう


誰かを探しているようだった



「もう一回、教室に行ってみよ」



少しして女子たちは通り過ぎ去っていった


もしかして探していたのは今、目の前にいる人?



行ったのを確認した蒼は咲良を解放


すぐ咲良は蒼から遠ざかり、心臓を落ち着かせようと深呼吸した



“死ぬかと思った………”



全身真っ赤にして荒く呼吸をする咲良に申し訳なさそうに話しかける



「悪かった………」



頭をボリボリかいて、自分のした大胆な行動に今頃恥ずかしくなってきて顔を赤らめる



「な、…なんなの一体!?」



少し怒り口調で蒼に問いただした


怒るのも無理ない
いきなり彼氏でもない男に抱きしめられたのだから


そんなことを思いながらも、咲良の嫌そうな反応に少しムッとした



“知らない仲でもないんだからそんなに嫌がらなくても……”



「教室に着替えに戻ろうとしたら、あいつ等が教室の前でカメラ持って待ち伏せしてたんだよ」



咲良にイラつきながらも今までの経緯を話し出した



「人の裸、撮ろうとしてて……だから逃げてきたの!」