まだ身長は低いし、意地悪だしオレ様


でも野球をやってるせいか意外とたくましい体


顔はまだ幼く、つり目で無愛想



でも本当はすごく優しくて、情が深い



正直、最初の頃は何でモテるかわからなかった


でも最近、蒼の深いとこまで知ってモテる訳だと思った



そのことを千都に話すと、そんなわけないと言われた


みんなにモテるのは顔が可愛いから


優しくて情に深いところはきっと浅井と咲良くらいしか知らないと千都は言った



確かに蒼の色んな面を知る人は数少ない


美紀子も前に言っていたが、千都も同じことを言った




“蒼にとって咲良は特別”




そう言われると歯がゆい気持ちになる


半信半疑だけれどなんだか嬉しくて、心が躍る





ピーーー



終了を告げる笛の音で我に帰る



騎馬戦は終わり、蒼はもちろん最後まで残っていた


終わった瞬間の写真も撮り、咲良の仕事は終わった



するとグランドに放送が流れる



『前半が終了しました。これからは昼休憩とさせていただきます』




咲良は一息ついて、カメラを返しに先生がいるテントへ



みんなは親のもとへお弁当を食べに散らばり



しかし咲良の親は来ていないためお弁当持参で来た


カメラを返し教室にあるお弁当を取りに行こうとしたが、ある人物に引き止められた




「瀬上さん」



声をかけてきたのは三年生の美術部の部長さん



「悪いんだけど美術室から次にやる部活対抗リレーに使うバトン、何か持ってきてもらえるかな?」



午後一で始まる部活対抗リレー


バトンの代わりにそれぞれ部活にちなんだ物を持って走る決まりだった


それを持ってくるのを忘れた部長さん


前から頼りなさげな先輩だった



教室にお弁当も取りに行くしついでだからと咲良は了解と返事し美術室に向かった