すると下駄箱の影から突然、人が現れた


「わっ！……びっくりした～」


現れたのは先ほどまで考えていた人物、蒼


急に本人が来て、咲良の心臓はバクバク言っていた


そんな咲良を横目に見て、そそくさと靴を取り履き替えた


いつもなら茶化したりする蒼

今日は少し様子が変


心配になった咲良はソッと話しかけた



「どうしたの？」


靴を履いた蒼はうつむいたままで咲良の横を通り過ぎた


完全無視な蒼に咲良はショックを受けた

しかしチラッと見えた蒼の表情はどことなくつらそうで小さな涙の粒が見えた


“私、何かした？……あんな顔、見たことないよ……”



無視をされた咲良は自分のせいかとモヤモヤしながら帰宅路を歩いた


何故だか悲しくて、何とも言えない気持ちに苛まれ、家についてもずっと考えていた


“嫌われたのかな…”


そう思うと胸がｷｭｳっと締まり、涙が出そうになる


すると咲良の母が来て


「咲良！美紀子ちゃんから電話！」


ぼーっとしている咲良に大きな声で言う母

はっとした咲良は電話を受け取り応えた



「もしもし……」


「聞いてよ！！！」


出た瞬間、大きな声

キーンとなった耳から思わず受話器を離した