その三日後くらいに、噂を聞きつけたユリが心配して私を飲みに誘ってくれた。


ユリは私たちが付き合う前から全てを知っていた唯一の友達。


ユリには何でも話せた。



「で・・一体何があったの?」


私たちは夜景が綺麗に見える店で静かに話していた。


「転勤・・・なんだって。」


「それで別れたの?」


「まだ分かんない。他の答えがあるんじゃないかって思っちゃう。でも、どうしようもないんだもんね。」


ユリと話していて涙はもう出なかった。

自分の中での諦めがあったのかもしれない。



「別れるにしても今じゃなくてもいいんじゃないの?まだ時間があるなら、転勤までの時間を一緒に楽しめばいいじゃん!」


ユリはそう私を説得した。


確かに別れるという選択肢しかないとしても、まだ時間があるなら最後まで一緒にいるという選択はある。



「でも、それだと絢香が辛くなっちゃうよね・・・。」


ユリは真剣に考えてくれた。


「ねぇ、もし私が大学を辞めてついていくって言ったらどうする?」


私は心のどこかに抱いていたありえない選択肢をユリに投げかけてみた。


「私はそれはそれでいいと思う。絢香が幸せになれるならその決断をした絢香をすごいと思う。」


意外なユリの反応に、私は少しだけ救われたような気持ちになっていた。



でもユリの言葉で、私は強くなろうと思った。


大切な人のそばで、大切な人と自分を笑顔に出来るくらい、強い人間でありたいと思った。