「言えって」

「いや、その…」



ひとり赤くなって口ごもる静奈に高柳は身体を近づける。



「ひゃっ…」

「言わないとキスする」
「それです!」



キスしようとした高柳を必死になってグイッと押し戻す。

ちょっと不服そうな彼は「何が」と低く答えた。


「高柳さんとのキスが嫌じゃなかったんです!」
「嫌じゃなかった…?」
「…はい…。その…初めてキスされた時も、その後のキスも…。高柳さんとのキスは嫌じゃなかったんです。」



段々と声が小さくなる。
静奈は自分の言っていることがとてつもなく恥ずかしくなった。



「…ふぅん…俺のキスが良かったってこと?」

「そ、そうじゃなくて!」



高柳はジッと見つめたまま首をかしげる。