静奈はキョトンと高柳を見つめた。
高柳は真っ直ぐ静奈を見つめてる。



「何か聞いたか?」

「え…?」

「俺と…友香のこと。」


高柳の口から発せられた言葉にハッと息をのむ。 まさか高柳から聞かれるとは思っていなかったから。
動揺してしまい言葉に迷う。



「えっと…」

「聞いたんだな」



やっぱり、とでも言うような静かな言葉に静奈は小さく頷く。横になっているせいか鼻がツンとするのがわかった。


でもここで泣いたりしてはいけない。泣いたりして高柳を困らせてはいけない。
泣いたことで冷たくされたら――――……………立ち直れないから。

いつものように、笑わなければ。



「婚約…されたとか。おめでとうございます」

「…本気で言ってんの?」



高柳の声が低くなる。

どうして?
だっておめでたいことなんでしょう?

静奈はゆっくり身体を起こして高柳を見た。そしてにっこり笑う。



「はい…。おめでとうございます」



高柳は表情を変えない。