「ま、脅かし役がいないはずなのに、毎年おばけを見て帰ってくるペアもいるけどね」


「え……? ま、マジですか!?」


「うん。マジ」



ぴたっと足が止まったあたしを振り返った先輩は、くすくす笑いながら手を差し出した。



「つなごうか?」


「……え?」


「そのペースじゃ、明日になってもゴールできないよ」



さらっと取られた右手に、どきんと胸が鳴る。