「……先輩が助けてくれたんですか……?」
「うん。良かったよ、間に合って。溺れているのがまさか眞緒ちゃんだとは思わなかったけど。
しかし無謀だよなぁ。どうして一人でこっちの方まで来たわけ?」
「練習しようと思って……そしたらいつの間にか流されてて……」
高波をかぶったときのことを思い出して、思わずぎゅっと目をつぶると。
急な寒気が襲ってきて、手の先が微かに震えた。
「もう大丈夫だから。な?」
そんなあたしの手を、先輩の手のひらが包み込む。
安心させるように髪を撫でられて、少しずつ、落ちつきを取り戻した。