「はうっ……」
突然大きな波が来て、海水をもろに飲んでしまった。
「ごほっ、ごほごほっ……」
苦しくて、カラダが動かない。
せき込んでいるせいで声も出ない。
みんなからはだいぶ離れてしまっているし、こっちに気づいてくれる人もいなそうだ。
「たす、たすけっ……てっ」
弱々しい声は、波の音に消されてしまう。
次の瞬間、また大きな波に襲われて。
「――っ!!!」
あたしの手は、ボードから離れた。
そのまま海に投げ出されて、必死にもがいたのは覚えているけれど、
ゆらゆらと揺れる海面を目にしたのを最後に、意識が途切れた。