胸元から、何ともいえない感覚が、全身にジワジワと広がっていく。
心地いい痺れ、満足感に、全身が包み込まれていく。
あぁ、もう、これ以上の幸せなんてないんじゃないだろうか?
心が通じ合う幸せ。
「……でも、わ、私、消えちゃうから」
「だからお前と同じだっつってんだろ。消えるとしても、思い出になるなら、何も伝えないよりずっといい」
同じ、同じ気持ちだ。
「好きだって気持ち、ぜってーお前に伝えたかったから」
「トーマ……」
抱き締めるこの胸に感じるトーマ。
幸せが伝わるように目覚めた『彼』。
私は惜しくも別れを告げようと思う。