また気付くと、右手に何かを掴んでいる感触。
ふに、ふに、ふに。
その中に固い芯(骨?)を感じ、顔を上げる。
そこには、トーマが居た。
「……ど、どうした……?」
珍しく、焦っているようなトーマ。
その顔に、ひどく安心する。
ポロリ、ポロリ、安心の涙が頬を伝った。
「トーマ、さん……?」
私は、トーマの腕を掴んでいた。
なぜかはわからない。
それでも、恐怖から逃れるかのように、縋る気持ちで掴んでいるのは、明らかだった。
「大丈夫か?」
心配の声が頭上から響き、落ちる。
……あんなに怖かったのに、一瞬でそれが消えた。