ハルは必死に父の居場所を確かめようとした。


彼はもう
この世界に居ないような気持ちさえもしていた。





……………………。
生きていればそれでいいよ。






ハルの願いはそれだけだった。



夜になって、
リビングで時計の針の音のみが
チクタク と時を刻んでいた。



ガチャ。




この音が聞こえて、
ハルは飛び上がった。

玄関にかけていき、

その音を発した主を見つけた。

父だった。


『あれ。ハル、どうしたんだい?』




なに食わぬ顔で家に上がってきた父をみて、
彼女は体中から力が抜けて、

床へヘナヘナとしゃがみこんだ。



『ハル!?!?』


あわてて寄ってきた父を見て微笑み。
そして
『なんでもない!!』と元気に返事をし。
台所へ向かった。




しかしハルは。自分の胸に残っている違和感を
忘れていたわけではなかった。