翼の顔の横まで来ると
お母さんが


「顔を見てあげなさい」


そういった




あたしの頭の中で
元気に走り回っていたはずの翼は

あたしの目の前で
真っ白な一枚の布によって
静かに眠っていた




あたしはその布にそっと手をかけた




感情なんてもはや何もなかった



この状況一つ一つがわからなくて
頭の中が
翼のかぶっている布のように真っ白で
無心に
あたしは



翼の顔を目にした




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