もう


手も足も
力が入らず動けない



もうろうとする意識の中
翼の視界に
男の顔が飛び込んできた





そいつは


くちもとだけが
満足そうに笑っていた







こいつはいったい何が目的なの?



何がしたいの?






翼あんたになんかしたのかなぁ






そして男の人はゆっくり歩き出し
廊下の向こうへと消えていった






あたりは
あいつの足音以外
なんの音もしない






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