―――っ…。


「あたしは…逃げてたんですね。」


「……あぁ。」

怖かった。


あんなに好きだったバスケが、

あたしの全てを奪ってしまう気がして。


バスケを憎むことで、

あたしはあたしの心から逃げていた。


「……先輩…。」


「…ん?」

あたしが今、光を目指して走れたのは、

きっとこの人のおかげ。


「……まだあたしは、

バスケが怖いです。」


「…ん。」

………でも。


「でも、怖いけど、でもあたしは、

バスケをしたい。前に進みたい。

………だから。」

この次の言葉を中々言い出せない。


この言葉であたしの運命が

変わるかも知れないから。


すると、サクト先輩はフッと笑う。


「別に長々と言わなくてもいいって。

分かってるから。

…で?試合に出てくれんのか?」