俺は一刻も早く、事実を確かめたくて
恵美さんに問いかける……
「電話の話、本当なのか?」
……ちがう。
その一言が欲しかった。
だけど、
帰ってきた言葉は、
信じられないものだった…――
「本当よ。……ただ、父親はあなたじゃないわ。」
その言葉にほっとしたのもつかの間。
そのあとに述べられたことは、
恐ろしく、ザンコクなものだった……
「私、あなたと結婚するわ。
お父様も、あなたなら良いって。
私はあなたのこと、
ずっと見てきた……
あんな女と一緒になるなんて、
許せない……
だけど私は、あなたを傷つけたりはしないわ。
なぜだかわかるわよね?
私は大切なものを傷つけたりはしない。
ま、あの女には容赦しないけど……
お父様に言えば、
あの女の将来を、夢を潰すことぐらい
簡単よ。」
……狂ってる。
だけど俺は、どうすることもできなかった。
彼女が言ったことは、
すべて本気だろう。
だって、彼女のお父さんは、
有名な国会議員なんだから。
優那の将来を、夢を潰すことくらい、
できるはずだ。