『声がでない。』




その短いけど重い言葉を見た菜都未は




驚きが隠せずショックを受けていた。




奏斗もできるだけその表情から




目を逸らしていた。




「稀緒・・、英語読めないの・・・?」




なんて返そうか考えてしまう。




こういうときに限って言葉が出てこない。




奏斗がその静けさを破った。




「絶対読めるようにするから。」




なんで?




何を言ってるの?




「コイツに英語を返してやりたい、俺は。」




まっすぐな瞳で菜都未を見る奏斗。




「学校のときは俺が面倒見られる。
 でも英習のときは俺、いないから。」




「コイツの事頼む。」




いつの間にか奏斗は成長してた。




でも奏斗、その心配は要らないよ・・・。




ひとりで大丈夫だから。