「稀ー緒ッ!!」




その声に振り向くと、




そこには奏斗が立っていた。




「寒いだろ、お前薄着なんだから。」




「なんでココまで来るのよ?」




「お前に早く戻ってきて欲しいから。」




真剣な瞳で言う奏斗。




「何ソレ?」




心配してくれてるのかと




尋ねてみる。




「3年生を送る会。
 稀緒がいねぇと始まんねぇ。」




確かにそうだ。




淡い期待をしてしまった。




顔が軽く火照る。




「着ろ。」




一言だけど、




とてもあたたかい言葉だった。