「稀緒、さっき泣いてたんだ。」




一応、姉ちゃんにそれを伝える。




「稀緒が?」




「なんか怖いものがあるんだと思う。」




「稀緒は強そうに見えて
 誰よりも弱いのよね、本当は。」




「稀緒は家にいるのが嫌らしい。」




「わたしも嫌いよ?あの家。」




「やっぱりあの人?」




「母さんのせいで息苦しいわ。」




「同情じゃねぇけど可哀想だ。」




俺だったらそんな家出てってやる。




でも稀緒だからできないんだろう。




病室前での会話を終わらせて




俺らは稀緒のいる




病室に入った。