○●奏斗SIDE●○




「維緒姉ちゃんッ!!」




維緒姉ちゃんが受験生なのに




わざわざ来てくれた。




稀緒、お前居場所あるじゃん。




「奏斗、ゴメンね?
 救急車学校に来てたけど、
 まさか稀緒だとは思わなくて。」




「姉ちゃんが来てくれて
 稀緒は嬉しいと思うけど?」




「本心がわかんないのよね、アノ子。」




「維緒姉ちゃん結果発表まだで
 大変なのにゴメンな。」




「いえいえ。
 じゃあ連れてって。」




俺は姉ちゃんを病室に案内した。




「母さん、忙しいんだって。」




「へ?」




「だから来ない気よ、今日は。」




「なんでだよッ!!」




「そういうのから
 いつも逃げるの、あの人。」




稀緒が可哀想なのは




きっとこの人のせいなんだ。