○●奏斗SIDE●○





維緒姉ちゃんに伝言をして




稀緒の病室へと戻った。




小さな小さなかすれるような




泣き声が聞こえる病室に




俺は入って行けなかった。




『わかった、今すぐ行くね。』




維緒姉ちゃんからの伝言も




稀緒に伝えなきゃいけない。




でも入っていけない。




そっとしておくべきだと思った俺は




病院のロビーで維緒姉ちゃんを




待つことにした。




俺って何ができるんだろう。




そういうことがいっぱい頭に




浮かんでくる。




でも俺は答えなんて




見いだせないでいた。