『一海駅ー、一海駅ー
 お出口は右側です。』




「ほら、もう降りるの。」




奏斗はそっと手を離した。




悲しそうな表情で見つめてくる。



プシューと電車のドアが開く。




「奏斗・・
 たまには帰ってきてよねッ!!」




ウチは奏斗にそっと耳打ちした。




奏斗はハッと顔を上げた。




ウチは電車を急いで降りた。




パッと花が咲く奏斗の顔。




「迎えに行くよ!」




ウチと奏斗は互いに微笑みあった。




プシューと今度はドアが閉まる。




憂いに満ちた奏斗をのせて、
憂いに満ちた稀緒をホームに残し
電車は走りいく。